トレンドマイクロ(4704)
サイバー攻撃増加を追い風に年初来高値、一方で通期予想は下方修正
国内発のセキュリティソフト大手トレンドマイクロは、2026年10月に相次ぐサイバー攻撃・情報漏洩を背景に年初来高値を更新した。一方で8月に公表した通期業績予想は下方修正されている。株価の勢いと業績の実態、両方を整理する。
会社概要:国内発・世界展開のセキュリティ専業
トレンドマイクロは1988年創業、日本発でありながら世界150カ国以上で事業を展開するグローバルセキュリティソフト会社だ。個人向けには「ウイルスバスタークラウド」、法人向けにはクラウド・サーバー・ネットワークなどを横断的に守る統合プラットフォーム「Trend Vision One」を提供しており、国内のセキュリティソフト市場では最大手の一角を占める。
2026年10月、サイバー攻撃増加を背景に年初来高値
警察庁は2026年9月、国内のランサムウェア被害件数が過去最多の123件になったと発表した。同月下旬には大手私鉄がランサムウェア攻撃を受けてシステム障害が発生するなど、有名企業への実被害も相次いだ。こうした「サイバー攻撃が増えている」という報道が相次いだことを受けて、企業のセキュリティ投資がさらに拡大するとの期待から買いが集まり、トレンドマイクロの株価は10月7日に一時7,220円まで上昇し、年初来高値を更新する場面があった。
一方で、8月の通期予想は下方修正されている
8月13日に発表された上期(1〜6月)実績は、売上高こそ市場予想をわずかに上回ったものの、営業利益・純利益は市場予想を2割前後下回る内容だった。これを受けて会社側は、通期の営業利益・純利益予想を下方修正している。売上高の計画自体は据え置かれており、成長投資(人員増強や研究開発など)によるコスト増が利益を圧迫した形で、事業の勢いそのものが衰えたわけではない点には注意しておきたい。
株価と業績のギャップをどう見るか
通期の利益予想が下方修正された直後にもかかわらず株価が上昇しているのは、目先の決算内容よりも「サイバー攻撃の増加でセキュリティ需要が今後さらに伸びるはずだ」という将来への期待が、株価を先に動かしているためだ。これはテーマ株によく見られる値動きで、期待が実際の業績に反映されるまでにはタイムラグがある。期待が先行している分、今後の決算で成長の裏付けが示されなければ、株価が反落するリスクもある点は踏まえておきたい。
まとめ
トレンドマイクロは、相次ぐサイバー攻撃の報道を追い風に株価が年初来高値を更新する一方、直近の通期業績予想自体は下方修正されているという、やや捻れた状況にある。セキュリティ需要の拡大という長期的なテーマには説得力がある一方、目先の株価は期待先行になっている可能性もあるため、今後の決算で実際の収益改善が確認できるかが注目点になる。
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※本記事は公表されている情報をもとに構成した情報提供を目的とするものであり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任において行ってください。